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自治体の少額工事の随意契約と見積合せ|基準額(都道府県400万円・市町村200万円)と登録の確かめ方

自治体が入札にしない少額の工事の受け方を、地方自治法施行令の随意契約の種類、令和7年4月に引き上げられた基準額、自治体の規則で額が決まる仕組み、入札参加資格との関係の確かめ方に分けて整理します。

地方自治法施行令第167条の2・別表第五
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

自治体の工事は、すべてが入札で発注されるわけではありません。予定価格が小さい工事は、入札によらず、自治体が相手を選んで契約する随意契約になることがあります。入札参加資格の申請を考えている事務担当にとっては、「少額の工事は資格がなくても受けられるのか」「見積合せとは何か」が気になる点です。この記事は、国の法令で決まっている部分と、自治体ごとに違う部分を分けて整理します。

随意契約ができる場合の種類

地方自治法第234条第1項は、自治体の契約を一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りのいずれかで結ぶものとし、同条第2項は、指名競争入札、随意契約、せり売りは政令で定める場合に限るとしています。随意契約ができる場合は、地方自治法施行令第167条の2第1項に次のように列挙されています。

号随意契約ができる場合この記事での呼び方
第1号予定価格が別表第五に定める額の範囲内で、自治体の規則で定める額を超えない契約少額随意契約
第2号契約の性質または目的が競争入札に適しないもの(不動産の買入れ・借入れなど)性質による随意契約
第5号緊急の必要により競争入札に付することができないとき緊急の随意契約
第6号競争入札に付することが不利と認められるとき不利な場合の随意契約
第8号競争入札に付し入札者がないとき、または再度の入札に付し落札者がないとき不落・不調の随意契約
第9号落札者が契約を締結しないとき落札者の不成立による随意契約

表は主なものだけです。第8号による随意契約は、契約保証金と履行期限を除き、最初の競争入札のときの予定価格その他の条件を変更できません(同条第2項)。第9号による場合も、落札金額の制限内で行い、履行期限を除き、最初の入札のときの条件を変更できません(同条第3項)。「特命」という言い方は、条文上の区分ではありません。実際にどの号によるかは、自治体の発注の案内で確かめます。

少額随意契約の基準額(令和7年4月に引き上げ)

少額随意契約の上限は、地方自治法施行令別表第五が契約の種類ごとに定めています。総務省の資料によると、令和7年4月1日施行の改正で、工事または製造の請負の基準額は次のように引き上げられました。

自治体の区分改正前改正後(令和7年4月1日から)
都道府県・指定都市250万円400万円
市区町村(指定都市を除く)130万円200万円

総務省は、改正の理由を「昨今の物価高騰や事務の効率化の観点」としています。改正の政令は令和7年3月28日に公布されました。ここで示した額は、工事または製造の請負の区分です。測量や設計などの委託は別表第五の「前各号に掲げるもの以外のもの」にあたり、基準額が違います。

実際の金額は自治体の規則で決まる

注意したいのは、別表第五の額が、そのまま全国の自治体の少額随意契約の上限になるわけではない点です。令第167条の2第1項第1号は、別表第五の額の「範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額」を超えないものとしており、別表第五は上限を示すだけです。実際の額は、各自治体の契約事務規則などが決めます。

東京都文京区の例では、政令の改正は令和7年4月でしたが、区の契約事務規則を改正して工事または製造の請負の基準額を130万円から200万円に引き上げたのは令和8年7月1日施行でした。同じ区のページは、この改正にあわせて、次の取扱いも変えるとしています。

  • 文京区小規模事業者が契約できる対象を、予定価格(税込み)30万円以下から、契約事務規則第39条の基準額以下の工事・物品購入などに広げる。
  • 前払金の対象となる工事などを、予定価格130万円を超えるものから200万円を超えるものに改める。
  • 最低制限価格制度の対象となる工事を、130万円を超え5,000万円未満から200万円を超え5,000万円未満に改める。

国が上限を引き上げたあとも、自治体が自分の規則を改正する時期は異なります。受注を考える自治体の基準額は、その自治体の契約事務規則で確かめます。

見積合せの手順は自治体ごとに確かめる

見積合せは、随意契約の相手を決めるときに、複数の事業者から見積書を取って比べる方法として使われる言葉です。ただし、地方自治法施行令第167条の2の条文には、見積合せの手順は書かれていません(e-Gov法令検索で条文を確認した範囲)。誰から何社の見積書を取るか、見積書の様式、価格以外の条件を見るかは、各自治体の規則や要綱、発注の案内で決まります。

事務担当が確かめる点は、見積書の提出先、提出期限、見積依頼を受ける事業者の条件(登録の有無を含む)、見積書に含める費用の範囲です。同じ工事でも、自治体の発注課によって運用が違う場合があるため、発注の案内に書かれた条件を一つずつ照らします。

登録の要否と入札参加資格との関係

少額の工事で見積書を依頼される事業者になるために、入札参加資格が必要か、別の登録が必要かは、法令で一律に決まっているものではなく、自治体ごとの運用です。入札参加資格を持つ事業者を相手にする自治体もあれば、小規模な契約向けに別の登録制度を設けている自治体もあります。

群馬県館林市には、入札参加資格の申請とは別に、100万円以下の工事や物品販売などを対象にした小規模契約希望者登録があります。この登録の手引きは、入札参加資格審査の電子申請で登録されている人は、この登録をできないとしています。どちらの仕組みで市の工事に参加するかを先に決める必要があります(詳しくは『館林市の入札参加資格の随時申請と小規模契約希望者登録』)。

入札参加資格の随時申請のやり方は『入札参加資格の随時受付』にまとめています。入札参加資格の申請では経営事項審査の結果を使う自治体があるため、資格を取る場合は申請先の自治体の案内で、対象になる経審の結果を確かめてください。少額随意契約の相手選びに経審の結果を使うかどうかは、自治体の要領で確認する点です。

契約担当に確かめる項目

  • 少額随意契約の基準額(契約事務規則に書かれた、工事の区分の額)と、その額を改めた時期。
  • 見積書を依頼する事業者の条件。入札参加資格の登録者に限るか、別の登録制度があるか、登録がなくてもよいか。
  • 別の登録制度がある場合の対象金額の上限と、入札参加資格との併用の可否。
  • 見積合せの手順(何社から取るか、提出期限、様式)。
  • 契約書の作成、前払金、検査の取扱い(少額の工事で省略される部分があるか)。

確認した一次資料

確認日:2026年10月15日(法令はe-Gov法令検索の取得日時点)。見積合せの運用や登録制度は自治体ごとに異なるため、この記事では国の法令と、確認できた自治体の例だけを載せています。

まとめ

  • 随意契約ができる場合は地方自治法施行令第167条の2に列挙され、少額のもの(第1号)、不落・不調(第8号・第9号)などがある。
  • 工事の少額随意契約の基準額は、令和7年4月1日から都道府県・指定都市400万円、市区町村200万円(別表第五)。
  • 別表第五は上限で、実際の額は自治体の規則で決まる。文京区は規則の改正が令和8年7月1日施行だった。
  • 見積合せの手順は令の条文にはなく、自治体の規則・要綱・発注の案内で確かめる。
  • 少額工事の登録の要否は自治体の運用による。館林市のように、入札参加資格とは別の小規模契約向けの登録があり、併用できない例もある。

この記事は公開情報の整理で、個別の契約に対する判断や、申請・届出の代行・個別の相談は行いません。具体的な取扱いは、各自治体の契約担当の案内で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

少額の工事の随意契約の基準額はいくらですか?
総務省の資料では、令和7年4月1日施行の改正で、地方自治法施行令別表第五の工事または製造の請負の基準額が、都道府県・指定都市で250万円から400万円、市区町村で130万円から200万円になりました。
別表第五の額が自治体の上限になりますか?
ならないことがあります。施行令第167条の2第1項第1号は、別表第五の額の範囲内で自治体の規則が定める額を超えない契約としており、実際の額は各自治体の規則で決まります。文京区は規則の改正が令和8年7月1日施行でした。
見積合せの手順は法令に書いてありますか?
地方自治法施行令第167条の2の条文には見積合せの手順は書かれていません。見積書の提出先や期限、条件は各自治体の規則・要綱・発注の案内で確かめます。
少額の工事を受けるのに入札参加資格は必要ですか?
法令で一律には決まらず、自治体の運用によります。館林市のように入札参加資格とは別に100万円以下の小規模契約希望者登録を設け、入札参加資格の登録者は登録できない例もあります。
不落の場合も随意契約になりますか?
施行令第167条の2第1項第8号は、競争入札に付し入札者がないとき、または再度の入札に付し落札者がないときに随意契約を認めます。その場合、契約保証金と履行期限を除き、最初の入札の予定価格その他の条件は変更できません。

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