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入札の談合・独占禁止法違反を避ける事務担当の注意|競争相手との情報交換と指名停止の関係

入札で競争相手と何を話すと談合を疑われるのか、発覚するとどんな措置があるのかを、法律と公正取引委員会・国土交通省の資料で整理します。

独占禁止法第3条・指名停止措置要領の整理
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

入札の事務を担当していると、同業者と顔を合わせる場面があります。どこからが談合にあたるのか、見積の数字を同業者に聞いたり教えたりしてよいのかは、迷いやすい点です。この記事では、独占禁止法が禁じている行為、発覚したときの措置、指名停止との関係を、公式資料の範囲で整理します。個別の行為が違反にあたるかどうかの判断は行いません。

禁止されている行為

独占禁止法第3条は、事業者は私的独占または不当な取引制限をしてはならないと定めています。第2条第6項は、不当な取引制限を、事業者が他の事業者と共同して、対価を決定し、維持し、引き上げ、または数量や取引の相手方を制限するなどして、公共の利益に反して一定の取引分野における競争を実質的に制限することと説明しています。「契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず」とあり、書面の契約がなくても対象になります。

公正取引委員会の資料は、官公需の入札や見積り合わせで受注予定者を決め、その者が受注できるようにする行為を「入札談合」と整理しています。

刑法第96条の6第2項にも別の定めがあります。公正な価格を害し、または不正な利益を得る目的で談合した者は、3年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金に処し、またはこれを併科するとされています。

条文は2026年10月17日にe-Gov法令検索で確かめました。法改正で変わることがあります。

入札価格の情報交換と、問題とされなかった例

公正取引委員会の事例集(平成27年度・事例7)は、入札に参加しようとする事業者が、その入札の入札価格に関する情報を事業者間で交換することについて、次のように書いています。

  • 最低入札価格などを決める手段になる、または最低入札価格などについての暗黙の了解や共通の意思の形成につながる可能性が高い。
  • そのため、独占禁止法上問題となるおそれが強い(公共入札ガイドライン第2-2-1-1「入札価格の情報交換等」を引いた記述)。

同じ事例は、問題とならないと回答された例でもあります。通信システムの設置工事の入札で、仕様に合う情報機器を、入札で競合する可能性のある別の事業者から調達する場面です。調達価格だけを事前に取り決めることは、独占禁止法上問題となるものではないと回答されました。理由として挙げられたのは、次の2点です。

事例集(平成27年度・事例7)で問題とされなかった理由
理由事例での内容
費用全体に占める割合情報機器の製造費用は、設置工事の費用全体に占める割合が高くない
取り決める範囲入札に参加する条件を満たすために、発注者が求める範囲で機器の調達価格だけを取り決める。ほかの機器、工事全体の費用、応札価格の情報交換は一切しない

この回答は、その事例の事実関係に対するものです。別の案件に当てはまるとは限りません。見積の数字を同業者に聞く、教える、共有するといった行為が一般にどう扱われるかは、この資料だけでは言い切れないため、入札価格に関わる情報を競争相手とやり取りする前に、公正取引委員会の資料や専門家で確かめる必要があります。

発覚したときの措置(排除措置・課徴金・刑事罰)

不当な取引制限に対する主な措置(条文の範囲)
措置条文の内容
課徴金第7条の2。対象となる売上額などの合計額に100分の10を乗じた額などの納付を、公正取引委員会が命じる。算定した額が100万円未満のときは命じない
課徴金の減免第7条の4。違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会へ事実の報告と資料の提出をした者などが、条件を満たすと課徴金を命じられない、または減額される
刑事罰(行為者)第89条。5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
刑事罰(法人)第95条。法人の従業者が業務に関して違反したとき、行為者を罰するほか、法人にも5億円以下の罰金刑

課徴金の算定は、条文に対象となる売上額、期間、加算や減算の定めがあり、上の表の10分の1という数字だけで金額が決まるわけではありません。実際の額は事件ごとに公正取引委員会が決めます。

指名停止との関係

国土交通省の「工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」別表第2第5号は、地方整備局が所管する区域内で、業務に関して独占禁止法第3条または第8条第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当と認められるときの措置期間を、認定した日から2か月以上9か月以内としています。

  • 2026年5月の例:首都高速道路株式会社が発注する特定道路清掃業務の入札で談合を繰り返したとして、公正取引委員会が2026年4月22日に違反事業者として公表した1社に、国土技術政策総合研究所が第5号を適用し、2か月の指名停止としました(2026年5月19日から7月18日)。
  • 2019年の例:アスファルト合材の価格カルテルで排除措置命令と課徴金納付命令を受けた9社に、第5号を適用し、1か月から4か月の指名停止としました(一部の機関では4か月)。

要領の運用基準は、排除措置命令、課徴金納付命令、刑事告発などの事実を知った後、速やかに指名停止の措置を行うものとしています。

上の要領は国土交通省の直轄工事の定めです。都道府県や市町村は、それぞれの要領で期間を定めています。自社が参加する発注機関の要領は、機関ごとに確かめてください。指名停止になると入札に参加できなくなる期間が生じます。指名停止の内容は指名停止と経審の関係の記事、指名される側の流れは指名競争入札で指名されるまでの記事にまとめています。

事務担当が手元で確かめること

  • 入札価格に触れる話題を、同業者とのやり取りに載せない:公正取引委員会の資料は、入札価格の情報交換を「問題となるおそれが強い」としています。
  • 例外は個別の事実で決まる:問題とされなかった例は、価格だけを取り決める範囲、費用に占める割合、ほかの情報を出さない条件がそろっていました。
  • 発注機関の要領を読む:指名停止の期間と要件は機関ごとに違います。
  • 迷ったときは公式資料に戻る:公正取引委員会の事例集には、建設業に関する事例がまとまっています。個別の可否は、この記事では判断できません。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  • 独占禁止法第3条は不当な取引制限を禁じ、書面の契約がなくても対象になります。
  • 入札価格の情報交換は、公正取引委員会の資料で問題となるおそれが強いとされています。
  • 発覚すると、課徴金、刑事罰、指名停止などの措置があります。国土交通省の要領の指名停止は2か月以上9か月以内です。
  • 個別の行為の可否はこの記事では判断できません。発注機関の要領と公正取引委員会の資料で確かめてください。

この記事は制度の説明で、法律上の助言ではありません。条文や要領は改正されることがあるため、最新の内容は各機関の公式資料で確認してください。

よくある質問

入札で競争相手と入札価格の情報を交換してもよいですか?
公正取引委員会の事例集は、入札に参加しようとする事業者が入札価格に関する情報を事業者間で交換することを、独占禁止法上問題となるおそれが強いとしています。個別の可否はこの記事では判断できません。
談合が発覚すると、指名停止はどのくらいの期間になりますか?
国土交通省の措置要領の別表第2第5号は、独占禁止法第3条などに違反したときの期間を、認定した日から2か月以上9か月以内としています。都道府県や市町村は、それぞれの要領で定めています。
談合には刑事罰もありますか?
独占禁止法第89条は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、第95条は法人に5億円以下の罰金刑を定めています。刑法第96条の6第2項にも談合罪の定めがあります。

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