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労働者名簿・賃金台帳・作業員名簿の違い

名前が似ている3つの書類について、根拠の法律、作る人、書く内容、保存期間の違いを表で整理します。元請が下請に出してもらう書類との関係も確認できます。

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編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営方針・出典

労働者名簿と賃金台帳は、会社が自社の従業員について事業場ごとに備える書類で、労働基準法が根拠です。作業員名簿は、現場に入る作業員を一覧にした書類で、元請が作る施工体制台帳の一部として下請が元請へ出すのが一般的です。同じ「名簿・台帳」でも、作る目的と相手が違います。事務担当者が元請から書類の提出を求められたとき、どれを出せばよいかを確かめられるように整理します。

3つの違い(要約):労働者名簿と賃金台帳は、会社が自社のために備える書類(労働基準法第107条・第108条)。作業員名簿は、元請の施工体制台帳に載せる「建設工事に従事する者」の情報(建設業法施行規則第14条の2)。保存期間は、前の2つは労働基準法で決まっています。

3つの書類の比較表

労働者名簿・賃金台帳・作業員名簿の比較(条文の整理)
労働者名簿賃金台帳作業員名簿
根拠労働基準法第107条労働基準法第108条建設業法施行規則第14条の2(施工体制台帳の記載事項)
作る人使用者(会社)使用者(会社)各社が作って元請へ出し、元請が施工体制台帳にまとめるのが一般的
単位事業場ごと、労働者ごと事業場ごと、労働者各人別工事現場ごと
主な内容氏名・生年月日・履歴・性別・住所・雇入れ年月日など賃金計算期間・労働日数・労働時間数・賃金の種類ごとの額など現場に従事する者の情報(氏名、職種、社会保険の加入状況など)
保存期間5年(当分の間は3年)5年(当分の間は3年)施工体制台帳の一部として、目的物の引渡しまで備え置く

作業員名簿の書式は法令で決まっていません。全国建設業協会の統一様式では「様式第5号」として作業員名簿が用意されており、使う会社が多くあります。

労働者名簿:誰について、何を書くか

労働基準法第107条は、使用者に、各事業場ごとに労働者名簿を各労働者について調べて作り、氏名、生年月日、履歴などを記入するよう求めています。日々雇い入れられる者は対象から除かれます。記入した事項に変更があったときは、遅滞なく訂正します。

記入する事項は、労働基準法施行規則第53条が次のように定めています(条文の項目を整理しています)。

  • 性別、住所、従事する業務の種類
  • 雇入れの年月日
  • 退職の年月日とその事由(解雇のときはその理由を含む)
  • 死亡の年月日とその原因

常時30人未満の労働者を使う事業では、従事する業務の種類は記入しなくてよいとされています(同条第2項)。

賃金台帳:賃金の支払いのたびに書く

労働基準法第108条は、使用者に、各事業場ごとに賃金台帳を作り、賃金計算の基礎となる事項と賃金の額などを、賃金を支払うたびに遅滞なく記入するよう求めています。労働者名簿が「人の情報」なら、賃金台帳は「支払いの記録」です。

施行規則第54条第1項が、労働者各人別に次の事項を記入するよう定めています。

  • 氏名、性別
  • 賃金計算期間、労働日数、労働時間数
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働をさせたときは、その時間数
  • 基本給、手当など賃金の種類ごとの額
  • 賃金の一部を控除したときは、その額

日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使われる者を除く)は、同条第4項により、賃金計算期間(第1項第3号)を記入しなくてよいとされています。ほかにも例外があるため、同条の文言で確かめてください。

作業員名簿:施工体制台帳の中の従事者情報

建設業法施行規則第14条の2第1項は、施工体制台帳に、元請として請け負った工事と、下請負人が請け負った工事のそれぞれについて「建設工事に従事する者に関する事項」を記載するよう定めています。この従事者の情報をまとめて書き出した書式が、一般に作業員名簿と呼ばれます。

  • 誰が出すか:現場に作業員を入れる各社が、自社の作業員について作り、元請へ出します。
  • 誰が集めるか:施工体制台帳を作る元請の会社です。台帳の作成義務の条件は『施工体制台帳と再下請負通知書』にまとめています。
  • CCUSとの関係:建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場運用でも、作業員名簿は施工体制の登録の段階で使います。手順は『CCUSの現場登録とカードリーダー』で説明しています。

台帳の記載事項には、一号特定技能外国人と外国人技能実習生の従事の状況も含まれます(同項)。作業員名簿を作るときは、その現場で必要な項目を元請に確かめます。

保存期間と数え始める日

労働基準法第109条は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ・解雇・災害補償・賃金などに関する重要な書類を5年間保存するよう定めています。ただし、同法の附則第143条が「当分の間」は5年を3年とすると定めており、現在の保存期間は3年として扱われます。

数え始める日(起算日)は、施行規則第56条が書類ごとに決めています。

保存期間の起算日(労働基準法施行規則第56条第1項の整理)
書類起算日
労働者名簿労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日(賃金の支払期日がそれより遅いときは、その支払期日)
賃金などの重要な書類その完結の日(同じく、支払期日が遅いときは支払期日)

作業員名簿は、施工体制台帳の一部として、台帳と同じく工事の目的物を発注者に引き渡すまで備え置かれます(建設業法施行規則第14条の7)。

元請から提出を求められたときの確かめ方

  1. 書類の名前で判断せず、契約書・特記仕様書の文言を見ます。「労務関係書類」とだけ書かれていたら、どの書類を指すかを元請に聞きます。
  2. 作業員名簿は、元請の様式があるか確かめます。統一様式(全建統一様式など)を指定されることがあります。
  3. 賃金台帳や労働者名簿の写しを求められたら、出す範囲を確かめます。これらは賃金や住所など個人の情報を含むため、提出の根拠、範囲、使い道を元請に確かめてから出します。
  4. 出した書類の版と日付を控えます。作業員の入れ替えがあれば、作り直して出し直します。

この記事は書類の違いを条文で整理したもので、個別の契約でどの書類を出すかは決めません。個別の判断は、契約書と元請の指示、必要に応じて社会保険労務士などの専門家に確かめてください。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  1. 労働者名簿は人の情報、賃金台帳は賃金の支払いの記録で、どちらも会社が事業場ごとに備える。
  2. 作業員名簿は、元請が作る施工体制台帳に載せる従事者情報を一覧にしたもの。
  3. 労働者名簿と賃金台帳の保存は、条文は5年で、当分の間は3年。起算日は書類ごとに違う。
  4. 元請から書類を求められたら、契約書の文言で指す書類を確かめ、個人情報の範囲も確認する。

条文は改正されることがあります。実際の事務の前に最新の条文を確認してください。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

労働者名簿と賃金台帳の違いは何ですか?
労働者名簿は労働者の氏名・生年月日・履歴・住所・雇入れ年月日などを記す人の情報で、賃金台帳は賃金計算期間・労働日数・労働時間数・賃金の額などを支払いのたびに記す支払いの記録です。
労働者名簿と賃金台帳は、誰が作りますか?
使用者(会社)が、各事業場ごとに作ります。労働者名簿は労働基準法第107条、賃金台帳は第108条が根拠です。元請や発注者が作る書類ではありません。
労働者名簿と賃金台帳の保存期間は何年ですか?
労働基準法第109条は5年と定めていますが、附則第143条により当分の間は3年とされています。数え始める日は、労働者名簿は退職などの日、賃金台帳は最後の記入をした日です。
作業員名簿は法律で作成が決まっていますか?
建設業法施行規則第14条の2が、施工体制台帳に「建設工事に従事する者に関する事項」を記載するよう定めています。作業員名簿はその情報を一覧にした書式で、書式自体は法令で決まっていません。
作業員名簿は誰が誰に出しますか?
現場に作業員を入れる各社が自社の作業員について作り、施工体制台帳を作る元請に出すのが一般的です。提出の様式や時期は、契約書や元請の指示で確かめます。
元請から賃金台帳の提出を求められたらどうしますか?
賃金台帳には個人の賃金の情報が含まれます。契約書や特記仕様書の文言で指す書類を確かめ、提出の根拠、範囲、使い道を元請に確認してから出します。

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