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ICT施工の工事で事務担当が確認すること|発注者指定型・費用の設計変更・加点の有無

国土交通省のICT活用工事(土工)の令和8年度版の実施要領をもとに、入札前と契約後に事務担当が確認する点を順に整理します。ICT活用工事の発注方式、費用が当初の積算に入る範囲と設計変更になる範囲、工事成績・総合評価での扱いを書きます。

国土交通省 ICT活用工事(土工)実施要領(令和8年4月1日以降適用)
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営者情報

土工を含む工事の公告に「ICT活用工事」と書かれていると、現場の機械の話に見えて、事務担当は何を確かめればよいのか分かりにくくなります。実際には、入札参加の可否、見積書の提出、設計変更の依頼、工事成績への影響と、事務が関わる場面が複数あります。この記事は国土交通省の公表資料を基準にしています。自治体の工事は、それぞれの公告・特記仕様書で確かめてください。

ICT活用工事(土工)とは何をする工事か

国土交通省の実施要領では、ICT活用工事(土工)は、次の5つの段階すべてでICT施工技術を活用する工事です。略称は「ICT土工」です。

  1. 3次元起工測量
  2. 3次元設計データ作成
  3. ICT建設機械による施工
  4. 3次元出来形管理等の施工管理
  5. 3次元データの納品

対象の工種は、河川土工・海岸土工・砂防土工の掘削工(河床等掘削を含む)・盛土工・法面整形工と、道路土工の掘削工・路体盛土工・路床盛土工・法面整形工です。土工以外の工種にICTを使う場合は、受注者からの提案・協議により、それぞれの実施要領と積算要領を参照するとされています。

発注方式は発注者指定型が原則

令和8年度版の実施要領は、上の対象工種に当たる工種については、発注者指定型での発注を原則としています。工事規模の数量による線引きは規定していません。

令和8年度版の実施要領
発注方式対象工種は発注者指定型が原則
数量の基準規定しない
実施しない場合ICTの活用が困難な場合、活用しても現場の作業性の向上が見込まれない場合は、工事内容と現場条件を見て実施の可否を決める

以前の運用には、発注者指定型のほかに施工者希望型がありました。中部地方整備局の資料は、ICT土工とICT河川浚渫工の普及に伴って施工者希望Ⅰ型が廃止されたと書いています(舗装工は表の中で今も施工者希望Ⅰ型の記載があります)。国土交通省のページでは、旧版の要領は令和8年3月31日まで適用の扱いです。古い解説記事や過去の入札説明書を見ている場合は、発注方式の区分が今の要領と違うことがあります。公告にICT活用工事と書かれていれば、入札の時点でICT活用を前提に積算し、施工計画を組みます。国土交通省の公告の記載例は、「ICT活用工事である」という形です。

費用は当初の積算に入るものと設計変更になるものがある

実施要領に付いている特記仕様書の記載例では、ICT施工技術を活用する項目は積算要領に基づいて費用を計上しているが、次の2つは当初は計上していない、とされています。実施した場合は、設計変更の対象として費用を計上します。

費用計上の方法
3次元起工測量・3次元設計データの作成発注者の依頼に基づき、受注者が見積書を提出する。発注者が妥当性を確認して設計変更の対象にする
3次元出来形管理・3次元データ納品、外注経費等受注者の見積により妥当性を確認する。1m間隔以下(1点/㎡以上)の点密度で出来形を計測し、面管理と3次元データ納品を行った場合は、官積算で共通仮設費率に1.2、現場管理費率に1.1の補正係数を乗じる。見積から算出した金額が補正係数による金額を下回るときは、見積の金額を計上する

設計変更の金額については、実施要領の積算の節に、積算に落札率を乗じた価格で契約変更を行うと書かれています。実施した費用が満額で戻るとは限りません。また、特記仕様書の記載例では、契約後施工計画書の提出までに、土工についても具体的な工事内容・数量・対象範囲を明示して監督職員と協議し、協議が整った場合に各段階が設計変更の対象になります。

どちらの費用も、受注者から見積の提出がない場合は計上しない、と書かれています。見積書を出さなければ、実施した費用が設計変更に入りません。契約後に発注者から見積書の提出を依頼されたら、期限を事務担当が管理します。出来形管理の費用の対象になるのは、空中写真測量(無人航空機)、地上型レーザースキャナー、無人航空機搭載型レーザースキャナー、地上移動体搭載型レーザースキャナーを用いた出来形管理の4つで、それ以外の方法の費用は共通仮設費率・現場管理費率に含まれ、別には計上しません。

注意:この表は国土交通省の特記仕様書の記載例です。自治体や他の発注機関の工事では、補正係数や計上の方法が異なることがあります。実際の金額と手順は、その工事の特記仕様書と積算の資料で確認してください。

工事成績・総合評価・経審での扱い

  • 工事成績:令和8年度版の実施要領は、工事成績評定における加点措置は行わないとしています。一方、発注者指定型で、受注者の責によってICT施工技術の活用(上の5段階すべて)が実施されない場合は、契約違反として工事成績評定から減点されます。ただし、次の4つはICT活用工事として評価し、未履行の減点対象にしないと書かれています。(1)前工事や設計段階の3次元納品データが使えるときの、断面・変化点の計測による起工測量。(2)現場条件でICT建設機械による施工が困難または非効率なときの、従来型の建設機械による施工。(3)土工数量が少なく、ICT建設機械で施工しても現場の作業効率が見込まれないとき。(4)出来形管理が複数回にわたって一度の計測面積が限られるなど面管理が非効率なとき、または降雪・積雪等で面管理ができないときの、管理断面・変化点の計測による出来形管理。
  • 総合評価落札方式:令和8年度版の土工の実施要領には、総合評価の加点の規定は見当たりません。地方整備局の運用の例として、中部地方整備局が令和6年12月の運用ガイドラインで、ICT土工・ICT河川浚渫工の施工実績・計画の加点を廃止し、ICT舗装工などは継続、ICT土工などの施工実績は新設の「インフラDXの取り組み実績」で評価するとしています。同じ扱いが全国の発注者に当てはまるとは限りません。
  • 経審:ICT施工の実績は、経審のW点の項目に含まれていません。経審の点数と、発注者の総合評価の加点は別の仕組みです。経審のW点を上げる方法で、項目ごとに確認できます。

事務担当の確認の順番

  1. 入札公告・入札説明書:「ICT活用工事」の語と、その適用の記載(工種・対象範囲)を探します。総合評価の場合は、評価項目にICT・インフラDXの実績や計画があるか確かめます。参加条件の読み方は『入札公告の参加条件の読み方』で確認できます。
  2. 特記仕様書:費用の計上の方法、見積書の提出の求め方、設計変更の扱いを読みます。
  3. 契約後:特記仕様書の記載例では、契約後施工計画書の提出までに、工事内容・数量・対象範囲を示して監督職員と協議します。発注者から見積書の提出を依頼されたら、期限を決めて現場と事務で分担します。
  4. 実施できない事情があるとき:減点の対象にしない例が実施要領に4つ挙がっています(前の節)。当てはまりそうな場合は、監督職員に確認する対象になります。
  5. 完成後:発注者の調査票への回答が必要です。実施要領には、活用効果等に関する調査票を工事完了後すぐに監督職員へ提出する規定があります。

確認した一次資料

確認日:2026年10月15日。この記事が説明しているのは国土交通省の土工の実施要領と、中部地方整備局の令和6年12月時点のガイドラインです。舗装工・構造物工などの実施要領、積算要領の数値の詳細、最新の地方整備局の運用、自治体の運用は確認していません。

次に知りたいこと

まとめ

  • 国土交通省の令和8年度版では、ICT土工の対象工種は発注者指定型が原則で、数量の基準はない。
  • 3次元起工測量・設計データ作成と、3次元出来形管理・データ納品の費用は、見積書の提出を経て設計変更で計上する。見積書がなければ計上されない。
  • 工事成績の加点はなく、受注者の責でICT活用をしないと減点される。例外の条件が実施要領にある。
  • 総合評価の加点の扱いは発注者ごとに違う。経審のW点にICT施工の項目はない。

この記事は公開情報の整理で、個別の申請に対する判断や、申請・届出の代行・個別の相談は行いません。具体的な取扱いは、各発注者の案内で確認してください。正式な評点は審査結果が優先します。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

ICT活用工事(土工)の発注方式は何ですか?
国土交通省の令和8年度版の実施要領は、対象工種については発注者指定型での発注を原則とし、数量による線引きは規定していません。ICTの活用が困難な場合などは、工事内容と現場条件を見て実施の可否を決めます。
3次元起工測量などの費用は当初の契約金額に入りますか?
実施要領の特記仕様書の記載例では、3次元起工測量・3次元設計データの作成と、3次元出来形管理・3次元データ納品の費用は当初は計上せず、実施した場合に設計変更の対象にします。受注者から見積書の提出がない場合は計上されません。契約変更は、積算に落札率を乗じた価格で行うとされています。
ICT施工をすると工事成績で加点されますか?
令和8年度版の実施要領は、工事成績評定における加点措置は行わないとしています。発注者指定型で受注者の責によりICT施工が実施されない場合は、契約違反として減点されます。
ICT施工の実績は経審の点数になりますか?
なりません。経審のW点の項目にICT施工の実績は含まれていません。総合評価落札方式の加点の有無は発注者ごとに異なるため、公告の評価項目で確認します。

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