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石綿(アスベスト)事前調査結果の報告|対象工事・報告する会社・期限・記録の保存

解体・改修工事で、石綿の事前調査の結果を国に報告しなければならない工事の基準と、報告する会社、報告の期限、報告とは別に残す記録を、厚生労働省と環境省の案内、石綿障害予防規則から整理します。

厚生労働省・環境省・e-Gov法令検索
編集:建設経営ラボ編集部(合同会社フューチャープロンプト) / 運営について

建物の解体や改修を請け負った会社は、工事の前に石綿(アスベスト)が使われているかを調べます。この調査の結果は、一定の規模以上の工事なら、石綿が見つからなかった場合も含めて、工事の開始前に国のシステムで報告します。ここでは、報告が必要な工事の基準、報告する会社、期限、報告とは別に3年間残す記録を整理します。

要約:報告するのは、工事を請け負った元請(自主施工者を含む)です。対象は、建築物の解体で床面積80㎡以上、建築物の改修と工作物の解体・改修で請負代金100万円以上の工事で、報告は工事の開始前までに、石綿事前調査結果報告システムで行います。報告とは別に、調査の記録を3年間保存します。

報告が必要な工事の基準

報告が必要なのは、次のいずれかに当たる工事です。厚生労働省の報告システムの案内と環境省の案内は、同じ基準を示しています。

事前調査結果の報告が必要な工事
対象基準
建築物の解体解体する作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修(改造・補修)その作業の請負代金の合計額が100万円以上(税込)
工作物の解体・改修その作業の請負代金の合計額が100万円以上(税込)
鋼製の船舶の解体・改修総トン数20トン以上(労働安全衛生法の側のみ)
  • 請負代金の数え方:材料費を含めた作業全体の請負代金で判断します。事前調査の費用は含めず、消費税は含めます。請負契約がなくても、請負人に施工させたとした場合の適正な代金相当額で判断します(環境省の案内)。
  • 契約を分けた場合:同じ者が解体や改修の工事を2以上の契約に分けて請け負うときは、1つの契約で請け負ったものとみなして基準に当てはめます。
  • 複数棟の解体:契約が1つ、または1つとみなせるときはまとめて報告します。契約が別々なら、別々の工事として報告します(報告システムのFAQ)。

工作物は、石綿が使われているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定める工作物が、労働安全衛生法の側の報告の対象です。自社の工事がこれに当たるかは、報告システムのFAQと発注者の仕様書で確かめてください。

報告する会社と、調査を行う人

報告の義務を負うのは、解体・改修工事を請け負った元方事業者(元請)です。自分で施工する自主施工者も含みます。複数の事業者が工事に関わるときは、元請が関係する請負人の分もまとめて報告します。

事前調査から報告までの役割(報告システムのFAQの整理)
作業誰が行うか
事前調査そのもの元請が行う。実際の調査は、元請から業務を請け負った事業者が行ってもよい
調査結果の報告元請(自主施工者を含む)。請負事業者が代わりに報告することはできない
調査結果の記録の保存元請

調査を行う人には、資格の要件があります。建築物では、令和5年(2023年)10月1日以降に着工する工事から、建築物石綿含有建材調査者(特定・一般・一戸建て等)などの講習を修了した人が調査を行います。工作物では、令和8年(2026年)1月1日以降に着工する工事から、工作物の種類に応じた要件がかかります。

  • 報告先:労働安全衛生法の側は所轄の労働基準監督署長、大気汚染防止法の側は都道府県または大防法政令市です。報告システムから申請すると、両方に報告できます。
  • 片方だけでよい場合:船舶は労働安全衛生法(石綿障害予防規則)のみ。一人親方・自主施工者の報告は大気汚染防止法のみです。

報告の期限と、報告のしかた

報告は、対象の工事を始める前に済ませます。報告システムのFAQは、事前調査の終了後に何日以内という制限はなく、遅くとも工事に着手する前に報告するとしています。石綿障害予防規則第4条の2も、工事を行おうとするときは「あらかじめ」報告するよう定めています。

  • 見られない箇所があるとき:構造上、着手前に目視できない箇所は、目視できるようになった時点で調査し、報告を修正します。
  • 工事中に新たな石綿含有建材が見つかったとき:再度の調査で新たな石綿含有建材を把握した場合は、報告内容を修正します。工事の扱いは、労働基準監督署や自治体に確かめます。
  • 報告の方法:原則は、厚生労働省の石綿事前調査結果報告システムです。利用にはGビズIDのアカウントが要ります。システムを使えない場合は、環境省が示す紙の報告書で、工事の場所を所管する自治体へ報告できます。
  • 複数の工事をまとめて申請:GビズIDのプライムアカウントとメンバーアカウントでは、一括申請と、支店・営業所ごとのグループ管理が使えます。エントリーアカウントでは使えません。

GビズIDプライムの取得は審査に日数がかかるため、早めに用意します。取得の流れは『GビズIDプライムの取得と更新』にまとめています。

報告をせずに石綿等の工事を行うと、関係行政機関から指導を受けたり、労働安全衛生法(石綿障害予防規則)と大気汚染防止法に基づく罰則が科されたりする場合があります。個別の工事で報告が要るかどうかは、労働基準監督署または自治体の担当課に確かめてください。

報告とは別に残す記録と掲示

報告システムで報告しても、記録の保存義務を果たしたことにはなりません。報告する内容は簡易な情報で、記録に必要な項目が足りないためです。報告システムのFAQは、元請が法令に必要な事項を満たした記録を、報告とは別に保存するよう求めています。

記録と掲示(石綿障害予防規則第3条第7項・第8項の整理)
内容
記録の保存期間事前調査を終了した日から3年間(分析調査を行った場合は、調査がすべて終わった日のうち遅い日から)
記録に載せる主な事項事業者の名称・住所・電話番号、作業場所の住所と工事の名称・概要、調査終了日、調査した部分と方法、材料ごとの石綿の使用の有無とその判断の根拠、調査を行った者の氏名
現場での掲示解体等の作業を行う作業場の見やすい箇所に、調査終了日と、調査した部分・材料ごとの使用の有無の概要を掲示する

新築工事の着工日が2006年(平成18年)9月1日以降であることが、設計図書などの書面で明らかな建物は、調査の方法が簡単になります。報告システムの案内でも、この場合は調査者の氏名と講習実施機関の名称の入力が不要です。書面で確かめられないときは、通常の調査になります。

公共工事では、発注者の仕様書や特記仕様書に、石綿の事前調査や報告の扱いが書かれていることがあります。工事ごとの指示に従ってください。

次に知りたいこと

確認した一次資料

まとめ

  1. 報告が必要なのは、建築物の解体で床面積80㎡以上、建築物の改修と工作物の解体・改修で請負代金100万円以上の工事。
  2. 報告するのは元請(自主施工者を含む)で、請負事業者が代わりに報告することはできない。調査の実務は委託してもよい。
  3. 報告は工事の開始前までに、石綿事前調査結果報告システム(GビズID)で行う。目視できなかった箇所は、後で調査して修正する。
  4. 報告とは別に、調査の記録を3年間保存し、作業場に調査終了日などを掲示する。

個別の工事で報告や調査が必要かどうかは、労働基準監督署または自治体の担当課に確かめてください。基準や様式は改正されることがあるため、報告の前に最新の案内も確認してください。評点表・算式の転記元は一次資料・出典一覧で確認できます。

よくある質問

石綿の事前調査結果の報告が必要な工事は何ですか?
建築物の解体で床面積の合計が80㎡以上、建築物の改修と工作物の解体・改修で請負代金の合計額が100万円以上(税込)の工事です。総トン数20トン以上の鋼製の船舶も対象です。
石綿の事前調査結果は、誰が報告しますか?
工事を請け負った元請(自主施工者を含む)です。複数の事業者が関わるときも、元請が関係する請負人の分をまとめて報告します。請負事業者が代わりに報告することはできません。
石綿の事前調査結果は、いつまでに報告しますか?
対象の工事を始める前までです。調査の終了後何日以内という制限はなく、遅くとも工事に着手する前に報告します。目視できなかった箇所は、後で調査して報告を修正します。
石綿が使われていなくても報告は必要ですか?
必要です。報告は、石綿の有無にかかわらず、一定規模以上の解体・改修工事に義務付けられています。行政が工事を把握して指導できるようにするための制度です。
報告システムで報告すれば、調査の記録は残さなくてよいですか?
いいえ。報告の内容は簡易な情報で、記録に必要な項目が足りません。元請は、報告とは別に法令の事項を満たした記録を、調査終了日から3年間保存します。
石綿事前調査結果報告システムを使うのに何が必要ですか?
GビズIDのアカウントです。プライムとメンバーのアカウントでは一括申請とグループ管理が使え、エントリーでは使えません。システムを使えない場合は紙の報告書で自治体へ報告できます。

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